英文契約書でよく遭遇する「これってどんな意味だっけ?」をまとめました。
- 英文契約書の頻出表現まとめ
- hereinafter/以下
- subject to ○○/○○を条件として
- in accordance with/~に従って
- pursuant to/~に従って
- provided, however, that…/ただし
- shall/しなくてはならない
- may/することができる
- will/するつもりである
- material/重要な
- endeavor/努力
- set forth/規定される
- otherwise/別段の
- hold harmless/損害を与えない
- force majeure/不可抗力
- in ○○’s sole discretion/○○の単独の裁量より
- including, without limitation, ○○/○○を含むがそれに限られない
- notwithstanding anything to the contrary/~にかかわらず
- おわりに
英文契約書の頻出表現まとめ
hereinafter/以下
用例:hereinafter referred to as “A”
以下「A」という。
契約書の冒頭で当事者の呼称を示す一文で必ずといっていいほど見かけますね。
他にもhereto、hereofなど、契約書では、here+前置詞がつく単語が多用されます。
hereby…by this agreement
herewith…with this agreement
のように、hereの場合は、「前置詞+this agreement」に読み替えることで理解できるようになります。
一方、thereの場合は…
例えばtheretoは、「to there」といったん読み替えてから、thereが何を指すのか文脈から判断すればOKです。
subject to ○○/○○を条件として
用例:subject to obtaining an approval of the board of directors
取締役会の承認を得ることを条件として
in accordance with/~に従って
従って その1。
用例:This agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan.
本契約は、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。
construed…解釈される
pursuant to/~に従って
従って その2。
用例:pursuant to the provision of the preceding paragraph
前項の規定に従い
provided, however, that…/ただし
原則と例外を表す場合などに使われます。
ちなみに私はこの表現を初めて見た時、提供(provide)、しかしながら(however)とは…??と、意味がわかりませんでした。
shall/しなくてはならない
shallは義務を表しますので、「しなくてはならない」と訳すのが良いでしょう。
may/することができる
mayは権利を表しますので、「することができる」という意味になります。
will/するつもりである
willには義務の意味合いはないことが一般的なため、義務を表したい場合にはshallを用いるようにします。
material/重要な
マテリアルと聞くと材質という意味が思い浮かびますが、契約書ではこのようになります。
material respect…重要な点
material breach of this agreement…本契約の重大な違反
例えばM&Aなどで、契約締結後から効力発生までの間に、相手方の会社の状況に重大な悪化がある場合には契約を解除できる、という条件にすることがあります。
material adverse change…重大な不利な変化
頭文字を取って「MAC条項」と呼ばれることもあるようです。
endeavor/努力
effortも同様に使えます。
reasonable endeavors…合理的な努力をして
best efforts…あらゆる努力をして
努力義務というと、達成できなくても仕方ない、というような軽いニュアンスに感じるかもしれませんが、best effortsはあらゆる手を尽くしてもできない場合に限り許される、のような重めの意味合いを持つ努力義務となります。
set forth/規定される
set forth herein…(本契約に)規定される
1つ後のotherwise、2つ後のhold harmlessの解説でも登場します。↓
冒頭でご紹介したとおり、hereinは、in this agreementの意味でしたね。
otherwise/別段の
用例:unless otherwise agreed in writing
書面による別段の同意のない限り
ここまで見てきた「set forth」や「herein」などを使って、このような表現もあります。
用例:unless otherwise set forth herein
本契約において別段の定めがない限り
hold harmless/損害を与えない
直訳すると、無害を保つ、ですね。
用例:X agrees to defend, indemnify and hold Y harmless from and against any and all ○○ to the extent arising from the X’s breach of its representations and/or covenants set forth herein.
Xは、本契約に規定される表明および/または保証の違反により生じた範囲において、すべての○○(第三者からのクレーム等)からYを防御し、補償し、損害を与えないようにすることに同意する。
ちょっと長いですが、防御し、補償し…の表現も定番(?)なので掲載しました。
to the extent…範囲において
force majeure/不可抗力
majeureと書いて、マジュールと読む。フランス語だそうです。
in ○○’s sole discretion/○○の単独の裁量より
ある事象が起こったときに、その対応について○○の裁量で決定・選択できる、というような文脈で用いられたりします。
soleは単独のという意味合いのため、次のような言い換えもできます。
用例:in X’s reasonable discretion
Xの合理的な裁量により
including, without limitation, ○○/○○を含むがそれに限られない
用例:”Confidential Information” means any information disclosed by X to Y relating to the purpose of this agreement, including, without limitation, designs, know-how, …and financial information.
「秘密情報」とは、本契約の目的に関連してXがYに開示した情報をいい、設計、ノウハウ(略)および財務情報を含むがこれらに限られない。
設計やノウハウはあくまでも例示で、それ以外の情報も含みますよ、という意味ですね。
notwithstanding anything to the contrary/~にかかわらず
用例:notwithstanding the foregoing
上記にかかわらず
用例:notwithstanding anything to the contrary in the above
上記(のいかなる反対の内容)にもかかわらず
ここまでに違う内容が書いてあったとしても、この場合はこうなりますよ、という文脈で使われます。
おわりに
英文契約書に頻出の見慣れない表現で、代表的なものをご紹介しました。皆様のお役に立ちましたら幸いです。